関節炎の基礎知識

関節炎と結核

 

 

 

関節炎と結核に関連があると聞くと、意外に思う方がいるかもしれません。結核は、過去においては不治の病とされ、恐れられてきた病気です。今は抗生物質の開発によって完治が可能ですが、今でも衛生状態の悪い国では頻発し、日本でも毎年罹患する患者がいて、「結核は過去の病気ではない」との言葉と共に撲滅される事を目指されている感染症です。結核が厄介なのは、症状が全身に及ぶ点であり、関節炎もその症状の一つに挙げられます。

 

 

筋骨格系の結核症で代表格は脊椎カリエスです。関節炎の中でも結核によるものを結核性関節炎と呼び、他の関節炎とは区別されています。結核性関節炎は結核菌が血流に乗って関節に入り込み、関節の痛みや腫れを引き起こします。患部に熱を持たないのが特徴のようで、体が疲れやすくなったり、足を引き摺るなどがみられます。今でも高齢者では時折発症する方がいるようです。

 

 

関節炎の治療も大事ですが、結核性関節炎は原因たる結核が治らない事には再発する事が考えられます。結核性関節炎では結核の治療を進めるのが大切なことなのです。

 

 

病理組織検査などで結核性関節炎だと診断されたら、関節炎の痛みを緩和できるように関節を伸ばした状態でギブスを使用して固定するなど対処しながら、リファンピシンやイソニアジドなどの投薬治療を受けましょう。